【長編】Sweet Dentist

千茉莉は嬉しそうに頷くと、すぐに細い指先を動かし始めた。

まるで魔法のように繊細に金色の飴が柔らかな曲線に形を変えていく。

それをケーキに飾っていく手の動きは、音楽を奏でているようにすら感じられ、観ているものを惹きつける。

彼女の瞳に不安や戸惑いは全く無く、楽しそうにキラキラと輝いていた。

お菓子を創ることが楽しくて仕方が無いという気持ちが、全身から溢れている。

アクシデントと最後の追い込みで殺伐としていた会場の張り詰めた緊迫感が徐々に和んでいく。

千茉莉は残り時間を気にして必死になるライバル達とは明らかに姿勢が違う。

これが天使の羽を持って産まれた千茉莉の才能なのだ。