千茉莉、驚くだろうなぁ。

俺が応援に来るなんて思ってもいないだろうからな。

でもまあ、菓子作りに集中しているときは何も耳に入らないヤツだし、俺が会場に居ても絶対に気付かないだろうな。

龍也の結婚式のウェディングケーキを作っていたときの千茉莉の集中力を思い出しながら、そんな事を思う。

結婚式の帰り道、千茉莉には東京までは応援に行けないと言ったが、最初からそんなつもりは更々無かった。

何が何でも応援に行くつもりでチャッカリ仕事の調整はしてあったのだ。

本当ならあの日、休みが取れた事を告げ、応援に行くと言って驚かすつもりだった。

だがそれが出来なかったのは

亜希の言葉が胸に引っ掛かっていたからだ。