【長編】Sweet Dentist

だからトスを待つ一群が、聖良さんの手を離れたブーケに一斉に手を伸ばしたのを、少し離れた所から静観していた。

それなのに…

ブーケは奪い合う手に弾かれ、あたしの方へと大きく弧を描いて飛んできた。

それを追って来た女性の一人と衝突しそうになったところを、響さんが庇ってくれてあたしを護るように抱きしめた。



そしてブーケは…



響さんの腕の中に抱きしめられ、向かい合う形になったあたしの胸元に落ちてきた。


まるで最初からその場所に収まることが決まっていたかのように…


これには誰もが驚き、次の花嫁と花婿が同時に決まったとひとしきり盛り上がって、あたしはとても恥ずかしかった。


でもまさか…それが魔法?


まさかね?