【長編】Sweet Dentist

「おまえが俺を覚えているなんて思いもしなかったよ。
あの時おまえの無邪気で純粋な心は俺を救ってくれた。おまえが天使に見えたよ。だから千茉莉の初恋の人が俺かもしれないと思ったときは驚いた。運命ってあるんだって思ったよ。」

「運命…先生はそう思う?」

「ああ、思うね。千茉莉と出逢う事は運命だったと思う。」

「本当に?信じられない。」

「本当だ…千茉莉はどう思う?」

「あたしは…これが運命なら嬉しい。」


あたしの言葉を聞いて微笑んだ響先生の顔を、あたしは一生忘れられないと思う。

右には闇夜に瞬く星

左には細く輝く銀の月

彼の瞳はまるで秋の美しい夜空を映したように綺麗だった。

余りの美しさに惹きつけられて動けなくなる。

一瞬だって意識を逸らす事も出来なくて…

あたしは完全に彼に囚われてしまった。

優しい指が頬の撫で唇に触れる。

触れた先から温もりと優しさが伝わって、心があなたを求め出す。


この想いを伝えたい。