「たぶん千茉莉の初恋の相手って言うのは俺が良く知っている奴だ。」
響先生の言っている事が良くわからなかった。
響先生はあたしを自分のマンションに連れて行くと、最後の患者の診療を済ませてくるといって部屋を出た。
帰ってから会わせてやるからここで待っているようにと言い残して。
先生があのおにいさんを知っている…?
二人の接点はわからないけれど、あたしの話を聞いて響先生はかなり驚いていた。
「冗談でしょう?あたしをからかっているの?」
明らかに疑いの眼差しで問うあたしに、響先生は複雑な顔をして嘘じゃないと言った。
「人違いって事はあるかもしれないけど…でも、そのオッドアイが本物なら俺はそいつを知っている。そうどこにでもある瞳じゃないし…たぶん間違い無いと思う。」
すぐには信じられなかった。
あの人に会える…。
本当だろうか。
響先生が帰ってきたら本当は冗談だったって言われるんじゃないかと不安を感じてしまう。
でも…
もしも本当にあの人に会えたら…
どうしても伝えたい言葉がある。
あたしに進むべき道を示してくれたあの人に
どうしてもお礼を言いたい。



