【長編】Sweet Dentist

「いや…グレーの瞳って言ったから珍しいなと思って。そいつもコンタクトだったのかな」

「ん~~それはわかんない。あたしも小さかったし」

「なんだ、ガキの頃の話か?」

「ん…ちょうどね今くらいの季節だったかな?もっと寒い頃だったかかもしれない。
今日みたいな夕日の綺麗なの日でね…。
その人は綺麗な金髪で、響先生みたいなグレーの左目と漆黒の右目のオッドアイをしていたの。
初めて見た瞳の色がとても綺麗で…その人の流していた悲しげな涙がすごく印象に残ったの。
あの時、人を癒してあげたいって初めて思った。だからパパみたいな、人を幸せな気持ちに出来るお菓子を作ろうって思ったの。
あたしにお菓子の道へ進むことを気付かせてくれた初恋の人だから…いつかまた会えたら良いなってずっと思っているの」

「それでさっき寝ぼけて俺をその人と勘違いしたのか?」

「あ、うん…ちょっと夢を見ていたから」

「ふ~ん。じゃあおまえはその人に再会したらいきなり抱きつくのか?」

「そっ…そんなことしないわよ」

「さっきはしたじゃないか」

「うぅ…それは寝ぼけていたから…」

「じゃあ、あのまま黙っていたら寝ぼけてキスでもしていたんじゃないか?」

「そんなことしないわよ。何言ってんのよ、このヘンタイ!」

「ヘンタイじゃねぇ。心配してやってんだろうが」

「そんなの心配でも何でもないでしょう?意地悪言ってるだけじゃない。ああっ、もう!せっかく素敵な思い出を話してあげたのにヒドイわ」

千茉莉はそう言うと俺を上目づかいで睨んだ。