千茉莉にフッと笑って見せると頭をなでるように髪に触れた。
そのまま髪を梳く様に何度も手を滑らせる。
「大したものだな。千茉莉は本当に人を救う才能があるんだろうな。」
きょとんとしている千茉莉に、俺は胸の奥深くに眠っている記憶を呼び起こし語り始めた。
「紅茶は母親の記憶なんだ。」
「お母さんの?」
「俺の母親はイギリス人なんだ。小さい頃は死んだと聞かされていた。
中学に入った頃だったかな、母親が本当は生きているって知ったのは。
どんな理由で母親と別れる事になったのかは親父は話してくれないけど…母親は今でもどこかで生きていると思う」
「一度も会った事は無いの?」
「記憶に無い。…だけど、ずっと古い記憶にある面影は、窓辺で香りの良い紅茶を入れる母親らしい女性なんだ。
母親の顔なんて知らない。写真すら見たことも無いのに何故かあの紅茶の香りだけははっきりと覚えていて…。紅茶の香りをかぐと心が安らぐんだ。
俺の中の何かがあの頃を覚えていて無意識に求めているのかもしれないな」
「お母さんに会いたいと思う?」
「いや、別に会いたいとは思わないけど…どうして親父と別れたのか知りたいって言うのはある。
親父があの医院をあの場所でって拘っているのは母親の為なんだよ」
「お父さんは今もお母さんを愛しているのね」
「別れてからもあそこまで想えるのなら、何で別れたりしたんだろうと思うよ。でも親父は絶対に教えてくれないんだ。何か理由があるんだろうけどさ。」
「あの場所にこだわる理由って…。もしかして待っているの?」
そのまま髪を梳く様に何度も手を滑らせる。
「大したものだな。千茉莉は本当に人を救う才能があるんだろうな。」
きょとんとしている千茉莉に、俺は胸の奥深くに眠っている記憶を呼び起こし語り始めた。
「紅茶は母親の記憶なんだ。」
「お母さんの?」
「俺の母親はイギリス人なんだ。小さい頃は死んだと聞かされていた。
中学に入った頃だったかな、母親が本当は生きているって知ったのは。
どんな理由で母親と別れる事になったのかは親父は話してくれないけど…母親は今でもどこかで生きていると思う」
「一度も会った事は無いの?」
「記憶に無い。…だけど、ずっと古い記憶にある面影は、窓辺で香りの良い紅茶を入れる母親らしい女性なんだ。
母親の顔なんて知らない。写真すら見たことも無いのに何故かあの紅茶の香りだけははっきりと覚えていて…。紅茶の香りをかぐと心が安らぐんだ。
俺の中の何かがあの頃を覚えていて無意識に求めているのかもしれないな」
「お母さんに会いたいと思う?」
「いや、別に会いたいとは思わないけど…どうして親父と別れたのか知りたいって言うのはある。
親父があの医院をあの場所でって拘っているのは母親の為なんだよ」
「お父さんは今もお母さんを愛しているのね」
「別れてからもあそこまで想えるのなら、何で別れたりしたんだろうと思うよ。でも親父は絶対に教えてくれないんだ。何か理由があるんだろうけどさ。」
「あの場所にこだわる理由って…。もしかして待っているの?」



