【長編】Sweet Dentist


――千茉莉…


柔らかなテノールが耳に心地良い。

フワリと抱きしめられる感覚に、心からの安堵とぬくもりを感じる。

あたしを優しく抱きしめてくれる心地良い温かさ。

意識が少しずつハッキリしてくる。

ゆっくりと瞳を開けると目の前には夢の中で見たグレーの瞳があった。


「おにいさん…やっと会えた…。」


あたしはフワリとその人の腕の中に飛び込んだ。

どうしてそんなことをしたのかわからない。

多分寝ぼけていて夢と現実がわからなくなっていたからだと思う。

「――っ!千茉莉?おい寝ぼけているのか?しっかりしろよ。」

聞き覚えのある声にふと我に返る。

寝ぼけてた?

あれ?

この声って…