【長編】Sweet Dentist

秋の夕暮れは訪れが早い。

宙が公園を出て行ってどのくらいそこに立ち尽くしていたかは記憶が無い。

ふと気がつくと、いつの間にか太陽が大きく朱色に滲んであたりの景色全てを紅く染め始めていた。

金にも赤にも見えるその夕日に照らされた光景に、懐かしい記憶が蘇る。


あたしは、さっきまで宙の座っていたベンチに崩れるように座り込んだ。

身体から一気に力が抜けていくような脱力感があった。

泣き続けていた事と、宙にきちんと自分の気持ちを告げる事は自分で思っていた以上に体力を使っていたようだ。

急激に疲れと睡魔が襲ってくるのを自分の意志でとめることが出来ないくらいに、あたしは疲れていた。

こんな公園のベンチで眠り込む訳にはいかないと頭では解っているのに、瞼がどんどん重くなっていく。



眠りに引き込まれる最後の瞬間に見た蜂蜜色の空の色が心に焼きつく。


ぼんやりとその輪郭を滲ませた大きな秋の夕日が世界を蜂蜜色に染め上げる。


その風景の中に切ない初恋の記憶を抱きしめて


あたしは夢の中へと落ちていった。