「ひっど~い!誰が乳臭いのよ。先生こそ大人気ないわよ?いちいちあたしに突っかかって。小学生じゃ無いんですから!もしかして先生のほうこそあたしに惚れてるんじゃないの?」

「ばっっ…ふざけんな!女には不自由してねぇよ。誰がおまえみたいな乳臭いガキんちょに惚れるって?大人をからかうのもいいかげんにしておけよな。」


ふうん、不自由してないんだ。そう言えばさっき女の患者さんは診ないって言ってたなあ。患者さんに手を出したら後腐れがあるから診ないのかも知れない…。


もしかして、さいっって~~な男なんじゃない?この人


あたしの疑いの眼を避け、先生は鼻でせせら笑うように次の診療日を告げた。

「じゃあ、また来週の火曜日のこの時間に来いよ。」


ああ、死刑宣告に聞こえるよ。


来週…また、この先生に会わなきゃいけないんだ…


うんざりしながら今度こそ診療室を出る。


大きな溜息をつきながらあたしは治療が終了するまで今日みたいな会話が繰り広げられるのだと確信して、思わずスケジュール帳に八つ当たりするように予定を書きなぐった。

10月11日火曜日…次の診療日の書き込みをしながら、さっきの先生のセリフを思い出す。



『なに?俺に惚れたの?』



ああっ、ムカツク。絶対にありえないし~~~!!



+++ 10月4日 Fin +++