【長編】Sweet Dentist

こんな時可愛い女の子だったら俯いてモジモジしているのかもしれない。

でもそんな事絶対に出来ないあたしって本当に素直じゃないんだと思う。

頭で考えるより先に体が反応するって言うのは、災害時の危機的状況でも生き残れるってことで、そう言う時のためにはとっても有効なのかも知れない。

でもこの場合は…あんまり有効とはお世辞にも言い難かった。


無意識に(ここはポイントね)振り上げられた右手は見事なカーブを描いて重力と本能のあるがままの形で振り下ろされた。

なんて、難しい説明だけど…

つまりは照れ隠しに思いっきり引っ叩いてしまったってわけね。


響先生が運転中だって事は一瞬頭から飛んでたって言うのは…説明しなくてもわかると思う。


「いって~~っ!千茉莉っ!おめぇ学習能力がねぇのかっ。運転中だって言ってんだろうがっ!!」


ヤバッ!と思った瞬間やっぱり言われた。

…と後悔しても体が先に動いてしまったものはしょうがないじゃない。

大体こうなったのも先生が変なことを言ったからで…。

「運転中ならあたしをからかって怒らせるのは止めましょうね。響先生」

いかにも先生が悪いとばかりに言い放ってフン!と窓の外に視線を移す。

こんな事で怒ってしまうって先生からしたらやっぱりお子ちゃまでしかないんだろうな。

そこまで考えてふと、さっきの先生の言葉の意味を考える。


『立派なレディーにしてやるから今夜は俺に大人しく付き合え』ですって?


一体何を考えているのかしら?