【長編】Sweet Dentist

あたしから目を逸らしたまま、外の景色に視線を送り、携帯で話す先生の表情は何処か不機嫌そうに見える。

友達と話しているのか乱暴な口ぶりだけど、イキイキしていて先生の新しい顔に思わず目を奪われた。

「千茉莉。おまえの行きたい所に連れて行ってやってから付き合ってもらおうと思っていたけど、ちょっと予定が変わった。おまえ、今夜少し遅くなっても良いか?」

話を終えると先生はすぐに車を発進させながらあたしにそう聞いた。

「え?あ、うん。家に連絡さえすれば大丈夫だと思うけど…まさか朝までとか言わないわよね?」

「バカ!何を考えてるんだよ。経験もないくせに一丁前の事言って」

「わっ…わるかったわね。経験がなくて!どうせ先生から見たらガキんちょですよ」

「じゃあ、そのガキんちょを立派なレディーにしてやるから今夜は俺に大人しく付き合え」

「えぇぇっ?付き合えって…なによ。レディーにしてやるってどういう意味よ」

シドロモドロのあたしを楽しむかのような視線て先生はニヤニヤ笑っている。



まさか…えっと……ちがうよね?