不意に響先生があたしの顔を両手で包み込むように上を向かせ、溢れて止まらない涙をそっと拭ってくれた。
先生の優しさが心に染みて別の涙が溢れてくる。
「そんなに宙のキスが嫌だったなら俺のキスで消毒してやるぞ?」
響先生が冗談めかしてウィンクをしてそう言った。
多分響先生はそう言えばまたあたしが言い返してくると考えたのだと思う。
だけどあたしは違う事を考えていた。
「…先生なら忘れさせてくれる?先生のキスをファーストキスだって思っていい?」
驚いたように目を丸くしてそれから優しく微笑んでくれた響先生。
この笑顔が大好き…。
「お願い…先生」
――― 教えて…本当の大人のキスを…。
あたしが言う前に先生は肩を引き寄せて、ゆっくりと顔を近づけた。
吐息が唇にかかって先生の唇の熱を感じる距離まで近付く。
僅かに動けば触れてしまいそうな距離で
先生は胸に響くような擦れたテノールで呟いた。
「このまま触れても…千茉莉は後悔しない?」
「…しない」
耳元で心臓の音がバクバクと五月蝿く鳴っている。
あたしは…静かに瞳を閉じた。
先生の優しさが心に染みて別の涙が溢れてくる。
「そんなに宙のキスが嫌だったなら俺のキスで消毒してやるぞ?」
響先生が冗談めかしてウィンクをしてそう言った。
多分響先生はそう言えばまたあたしが言い返してくると考えたのだと思う。
だけどあたしは違う事を考えていた。
「…先生なら忘れさせてくれる?先生のキスをファーストキスだって思っていい?」
驚いたように目を丸くしてそれから優しく微笑んでくれた響先生。
この笑顔が大好き…。
「お願い…先生」
――― 教えて…本当の大人のキスを…。
あたしが言う前に先生は肩を引き寄せて、ゆっくりと顔を近づけた。
吐息が唇にかかって先生の唇の熱を感じる距離まで近付く。
僅かに動けば触れてしまいそうな距離で
先生は胸に響くような擦れたテノールで呟いた。
「このまま触れても…千茉莉は後悔しない?」
「…しない」
耳元で心臓の音がバクバクと五月蝿く鳴っている。
あたしは…静かに瞳を閉じた。



