にやりと意地の悪い笑み。
腹立つやつだなぁ。
『じゃぁこのカクテルをもらおうかな,ねおんちゃん?』

交渉成立。
カクテルがくると言われた。
『お前,なんでこんなとこで働いてんだ?』

こんなとこ?
学校のほうがよっぽど【こんなとこ】じゃない。
あたしにはここは天国。

『別に?
働きたいから。
.....ただ,それだけ。』
そう。ただ,それだけ。
ここにいたいから。

じっと荒井があたしの目を見つめる。
あぁ,この人あたしを見る目がヨシ店長と....

『....詳しいことは明日聞くからいいけどな。』
ふっと,目をそらしカクテルを飲む。
この人はどうして低い掠れた,寂しい声をしているのだろう。


ほっとけないのはどうして?


肩にぶつかられた衝撃で我に戻る。
『荒井クン!!楽しんでるかね?
そろそろ校長も帰るそうだ!
君,タクシーを頼むよ。』
教頭が荒井に言う。

『タクシーなら外にありますよぉ。』
うちはだいたい時間を見積もってタクシーを置いてる。