昼休みで学校を抜け,家へ帰る。
普通は荒井に書き置きを残しているが。
(あたしって意外と几帳面だったんだなぁ。)
今日はそういう気分じゃなかった。
職員室をスルーして家に帰った。
誰もいない家に帰り,軽い睡眠をとる。




あたしは白と黒の世界にいた。
白はきっと昼。
逆の黒は夜なんだ,と思った。
ちょうど白と黒の境界線をあたしは歩いていた。
まるでどちらにも行けないかのように。

違う,行く勇気が無いのだ。

何故かどうしようもなく悲しかった。
ただ自分の居場所がほしかった。
座り込んで泣いた。
泣いて泣いて泣いて。
もう何のためにこの涙を流しているのか,それも分からずに。
何度も地面を叩いた。

すると白と黒の世界は溶け合って灰色になった。
どっちつかずな中途半端な色が目の前に広がった。
こんな世界で生きるつもりは,なかった。
白か黒,あたしにはどちらかが必要だった。


走って,息を切らせ,白か黒の世界を探した。

どちらか選ぶのなら?

あたしは黒で生きる。
白はあたしを露に写しすぎる。
ならば黒に紛れて生きていたい。