『...お前,学校は?』
聞こえたのは


少し掠れた低音。


孤独な『音』のくせに何だか優しい。

『.......何?』
ここは誰っていうところなのについ何って言ってしまった。


『何ってのはねぇだろι

1人足りねぇから探しにきてんのに。』

風に流れて,ふわっと香水の香りが鼻の奥をくすぐる。
汚いオヤジどもとは比べものにならないほどの,落ち着いた香り。

嫌いじゃない。

そう思った。

『じゃあ誰なの?』
うつむき加減していた顔をあげる。
風が止まった。
ドラマにあるような場面があたしの目の前にあった。