【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~

「あのねぇ、聖良は僕がそんな趣味のある男に見えるの?」

「…じゃあどうしてあたしを呼び出したりしたんですか?」

「あの男の事でないと君を呼び出したりしちゃいけないわけ?僕は君と話がしたかったんだけど。」

「はぁ…何のお話でしょうか?」

「フフッ。聖良は本当に鈍感なんだ。普通男が女を人気の無い所に呼び出したら、大体想像つくんじゃない?」

「……女の人からはしょっちゅう呼び出しをされてますけど、男の人は初めてですから…。」

何を言いたいのか良くわからない。大体この人あたしのこと名前で呼んでない?

会ったばかりの名前も知らない人にいきなり名字でなく名前で呼ばれたなんて龍也先輩にバレたらそれこそ何を言われるか分からない。

グイグイと引っ張られてきたから歩くのがやっとだったけど気がついたら人気のない別館の廊下まで来ている。


研修室や生徒会室のある別館へ繋がる廊下

ここはあまり人が通らない。話をするには静かでいいのかも知れないけれど

初めて会った男性とふたりきりでこの場所にいるのは正直居心地が悪い。


『だからおまえは無防備だって言ってるだろう。』


眉間に皺を寄せて不機嫌な顔をした龍也先輩の顔が浮かんでくる。

考えてみたらこんな風に知らない男性(ひと)と二人きりでいるところを見られたりしたら、それこそ怒り狂うんじゃないかな。

…先輩、来ないよね?


こんな所まで捜しに来たりしないよね?