ああ、お日様があったけぇなぁ。

スゲー眠い。

よく頑張ってこの時間まで耐えてたよ。エライぞ、オレ!


まったく、あの二人もベッドルームに閉じこもってないで、外にでも行けばいいのに…。

あの二人の休日の光景は、いつだってメチャクチャ甘い。

ホットミルクに角砂糖を10個くらい入れて胸焼けした方がまだマシだっていうくらいの甘さだ。

なんつったって、聖良さんが泊まりに来て午前中に二人が起きた事はただの一度も無い。

大体、聖良さんが夜の間に寝かせてもらった事も無い気がする。

……人間って夜行性じゃなかったよな?

普通は夜に寝るはずだよな?

龍也が特別なのかもしれないが、あいつは聖良さんが来ると、どうも嬉しくて(?)朝まで眠れないらしい。

それに付き合わされる聖良さんは本当に大変そうで、次の日疲れ果ててグッタリしている姿が、余りにも可哀想になることがある。

…まぁご愁傷様ってことだな。

しょうがないじゃん。龍也みたいなヤツを好きになっちまったんだから。

彼女が騙されたって可能性も否めないが…

まぁ、諦めてやってくれよな。龍也のあの笑顔の為にも、オレの平穏の為にもさ…。

夢に飲み込まれていく途中で、二人のじゃれあう声が聞こえてきたけど、それさえどうでも良くなっていく。

霞みが掛かる世界の中で耳に届いた龍也の擦れた声。



「聖良…誰よりも愛しているよ…。」



俺の前では決して聞けない優しく幸せなその声に心が温かくなる。


聖良さんと出逢えてよかったな…龍也…


とんでもなく捻くれた相棒だがやっぱりお前には笑っていて欲しいよ。


二人の幸せがこのまま永遠に続いて、龍也がずっと笑っていられるなら


一日といわず一年でもベッドルームから出てこなくても、まあいっか…。


ああ、でもそれって、オレが今夜も追い出されるって事だよなぁ…。


しょうがない。しっかり寝て気力と体力を回復しておこう。



そんな事を考えながら、オレは夢の中へ落ちていった。






++アッシュの独り言2 Fin++