窓ガラスに映るピンク色の自分の姿にぞっとして溜息をつく。

本当なら夜の闇に溶け込むような漆黒の艶やかな毛並みで格好よく月を背にヒラリとベランダから飛び降りたい所なんだが…
余りにもこのピンク猫は情けなさ過ぎる。


オレの美貌があぁぁぁぁぁ…。


窓越しに微かに聞こえてくる聖良さんの甘い声。

が~~!余計にむかつく。覚えてろよ龍也。

猫の恨みを買った事絶対に後悔させてやるからな。


くっそ~!!


龍也が本質的には優しい奴だなんて思っていた俺が馬鹿だった。

龍也が可愛く思えたなんて言葉は撤回だ。

あんな不器用なヤツ放って置けないなんて思った俺はなんてお人(猫)よしなんだろう。


思い起こせばヤツに拾われた事がオレの人生の最大の悲劇だったんだ。


こんなピンク猫にされて寒空に放り出されるくらいなら…


いっそあの日衰弱死していたほうがましだったかもしれない。





++アッシュの独り言 Fin ++