【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~

でもさ、いくら日中は春らしくなってきたからって、夜はまだまだ冷えるんだ。

それなのにあの馬鹿龍也はオレが聖良さんと遊んでいた事に嫉妬してオレを締め出した上に自分はイチャイチャと…その…なんだ。

あれいはいわゆるサカリって奴なんだろうな。

大体人間っていうのは節操が無いと思う。

オレたち猫だって恋の季節って言うのはあるが、人間みたいに一年中サカってる動物は見た事が無いぞ?

龍也はオレの知っている人間としては強靭な理性の持ち主でその辺はかなり出来ているヤツだと思っていたんだ。

ここだけは(だけかっ?)さすがオレの同居人だと(飼い主なんて言うな)思ってたんだ。

それなのにオレが年末からちょっとダチのところへ遊びに行って家を空けた隙に、あいつは聖良さんを家に連れ込んで…その、なんだ…イイ仲になっちまったらしい。

一週間ぶりに帰ったオレを、龍也は怒るでも心配するでもなく、一緒に暮らしてから初めてみる怖いほどに綺麗な満面の笑顔で迎えてくれた。

その上、不気味なほど明るくやたらご機嫌でオレを構ってくるのを背筋が寒くなるような不思議な感覚で眺めていたのを思い出す。

あんときゃ龍也が狂ったか、もしかしてそっくりな別人なんじゃないかと本気で思った位だった。

それから聖良さんは週末は必ず泊まりに来るようになり、平日も可能な限り食事を作りに来るようになった。

おかげでオレも龍也のバイトが遅くなっても腹が減った時に新鮮な餌にありつけるようになった。この辺も聖良さんが来るようになってオレが助かっている所でもある。