ハラハラと淡い雪のように風に舞って降ってくる花びらを目で追いかけていた龍也先輩の視線が一点で止まる。
眩しいのか、それとも昨夜のバイトで帰りが遅くて寝不足だったせいか、いつもより数段色っぽい瞳で見つめてくる龍也先輩に、あたしの心臓はさっきからドキドキと少し早い調子で鳴っている。
「いいお天気になりましたね。温かくて桜も綺麗で…すごく気持ちいい。」
あなたに誕生日のプレゼントを渡すタイミングを見計らっているあたしは緊張を気付かれないように平静を保って見せているつもりだけれど…上手く誤魔化せているかしら?
「クスッ…聖良に花びらがたくさんついてる。綺麗だな。」
そう言うと長い手をすっと伸ばし、あたしについた桜の花びらをひとつひとつ取り払ってくれる。その仕草がとても優しくて、髪に、肩にあなたの手が触れるたびに胸がキュンって痛くなって、それから心臓がこれでもかっ!って言うくらいに五月蝿くなるの。
あなたは相変わらず綺麗な笑顔であたしに微笑んでくれる。
あなたのその笑顔があたしは大好きで…。
その瞳で見つめられ、その笑顔を向けられると、もう囚われたように逆らえなくなってしまうのもいつもの事。
抵抗できなくなってしまうのは悔しいけれど、それでもあなたにはあたしの傍でずっとずっとその笑顔でいて欲しいの。
「桜ってさ、泡沫の夢って感じじゃないか?どんなに美しく咲いても一瞬で散って、何も残さない。泡のように消えてしまうひと時の幻想みたいだ。」
ずっと傍で笑っていて欲しい…そう願うあたしの想いとは裏腹に、龍也先輩は少し悲しげな顔をして、天を仰ぐとどこか遠くを見ながらそう言った。
瞳の先には満開の桜が大きく両手を広げるように青空を薄桃色の霞みに染めている。
眩しいのか、それとも昨夜のバイトで帰りが遅くて寝不足だったせいか、いつもより数段色っぽい瞳で見つめてくる龍也先輩に、あたしの心臓はさっきからドキドキと少し早い調子で鳴っている。
「いいお天気になりましたね。温かくて桜も綺麗で…すごく気持ちいい。」
あなたに誕生日のプレゼントを渡すタイミングを見計らっているあたしは緊張を気付かれないように平静を保って見せているつもりだけれど…上手く誤魔化せているかしら?
「クスッ…聖良に花びらがたくさんついてる。綺麗だな。」
そう言うと長い手をすっと伸ばし、あたしについた桜の花びらをひとつひとつ取り払ってくれる。その仕草がとても優しくて、髪に、肩にあなたの手が触れるたびに胸がキュンって痛くなって、それから心臓がこれでもかっ!って言うくらいに五月蝿くなるの。
あなたは相変わらず綺麗な笑顔であたしに微笑んでくれる。
あなたのその笑顔があたしは大好きで…。
その瞳で見つめられ、その笑顔を向けられると、もう囚われたように逆らえなくなってしまうのもいつもの事。
抵抗できなくなってしまうのは悔しいけれど、それでもあなたにはあたしの傍でずっとずっとその笑顔でいて欲しいの。
「桜ってさ、泡沫の夢って感じじゃないか?どんなに美しく咲いても一瞬で散って、何も残さない。泡のように消えてしまうひと時の幻想みたいだ。」
ずっと傍で笑っていて欲しい…そう願うあたしの想いとは裏腹に、龍也先輩は少し悲しげな顔をして、天を仰ぐとどこか遠くを見ながらそう言った。
瞳の先には満開の桜が大きく両手を広げるように青空を薄桃色の霞みに染めている。



