【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~

佐々木達のいる屋上の更に上に貯水タンクを設置した僅かなスペースがある。

屋上のみならず校舎全域を見渡せるが、柵も無く強風に煽られる危険性が高い為立ち入り禁止になっている場所だ。

ここから落ちたらまず即死は確実だろうな。

危険なので普段は登れないようにはしごを外してあるけど、ちょっと除けてあるだけだから登ろうと思えばこんな風に簡単に上がれてしまう。

でも、ここに自ら上がろうと考えるなんて僕たちくらいのものだろうな。

高所恐怖症ではない僕だけど、下を見るのはかなりの度胸がいる。

愛子の腰をチャンスとばかりにしっかりと抱いて支えながら、全神経を足元に向けていないと目眩がして落下してしまいそうだ。

何でここまでするのかだって?

それは佐々木龍也の動揺する姿がそれだけの事をしても見る価値があるからだ。

しかも、それをネタにからかう事が出来るかもしれないって言う、人生でもそう何度も巡ってくる事の無いチャンスかもしれないんだ。

多少のリスクは覚悟するさ。

さっきまで二人で弁当を食っているときの甘い顔なんて新聞部にスクープで高く買い取ってもらえそうなネタだったぜ。

僕に写真の才能があれば絶対にやっていたな。

屋上には他にも学生がいるにもかかわらず人目もはばからず聖良を引寄せる佐々木を信じられないものを見るような気持ちで見つめる。

これ、本当に佐々木なんだよなぁ。

クールビューティのカケラも見当たらないぜ?メチャクチャ甘いじゃねぇか。

聖良って本当にすげぇや。