【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~

今夜も一緒に俺の家で過ごして夕飯が食えると思うと、益々嬉しくなった。

だが同時に僅かな不安も過ぎった。
聖良はすごく無防備だ。
世の中には悪い人間は存在していないと思っている。
いつも思うことだが、夜道を俺のマンションまで歩いてくる聖良には不安を隠せない。

「聖良は無防備だからな。おまえ、人に道を聞かれたらホイホイ案内するタイプだろう?」

誰かに道を聞かれたらそのまま道案内をして何処かへ行ってしまいそうだと常々不安に思っていた俺は一度は聖良に釘を刺しておかなければと以前から思っていた。

ここぞとばかりに聖良の反応を見るチャンスだ。

案の定困った人を見捨てておけないとアッサリと言う聖良。

相手が誰であろうが人の良い笑顔でノコノコと道案内をしてしまうだろうと確信した俺は不安を隠しきれなかった。

本当にナンパと気付かずに連れて行かれてしまうんじゃないだろうか?

ここで聖良を一人で歩かせるのが不安だ何て言ったら束縛しているように思われてしまうだろうか。
やっぱり、そこまで言ったら流石に聖良に嫌われそうだな。

でも…すげぇ不安なんだよなあ。

一人で出歩くなとは言えないが、警戒するくらいはして欲しい。

大丈夫だと本人は言うが、ナンパだってこと自体に気付かない可能性のほうが高いと思うのは絶対に思い過ごしじゃないと思うんだ。

なんせ、聖良だもんなぁ…。

まだされてもいないナンパに嫉妬するのも変な話だが、想像しただけでイライラしてくる。

だから聖良を離したくなくなった。
釘を刺すように不意打ちで唇を奪って腕の中に閉じ込める。
甘く、涼やかな聖良の香りがフワリと鼻腔をくすぐり心を癒していく。

ああ…このまま聖良を腕に抱いてここで昼寝でも出来たらすげぇ幸せだろうな。


……午後の授業サボっちまおうか?