【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~

先輩が眼鏡を外している時は本当に要注意だ。

視力の悪い彼は眼鏡を取ると至近距離で無いとあたしの顔が見えない。それを利用して必要以上に距離を縮めて話して来る。

しかもそんなときの瞳は僅かに潤んで母性本能をくすぐりつつも誘うような魅力がある。

モデルよりよほど整った綺麗な顔がいつも以上に妖しく見える。悪魔的な絶対的魅力で視線が外せなくなるから始末が悪い。

あたしがその笑顔に弱いのを彼は知っている。

この笑顔が罠だって言う事もあたしはちゃんとわかっている。

でも…

「聖良…好きだよ。」

わかっているのに、至近距離であの瞳に真っ直ぐに見つめられて優しくそんな風に言われると、もう何も考えられなくなる。

「一人寝はイヤだな。傍にいてくれる?」

可愛く甘えてくる駄目押しの一言で魅入られたように何も言えずにコクンと頷いてしまってからいつもハッとする。

……やられた。今日も彼の罠に見事にハマってしまった。

はあっ…相変わらずあたしはこの目に壊滅的に弱い。

あたしの意思とは関係なく、今日の午後はおサボリが決定してしまったみたい。

もうっ!
担任に呼び出しを食らったら龍也先輩のせいですからねっ!

あたしは諦めたように大きく溜息をつくと瞳を閉じてキスを受け入れた。


「……お外でエッチだけは絶対にイヤですからね」

ぼんやりする意識の中でもこれだけはハッキリ言ったつもりだけど、龍也先輩には聞こえていたのかな?


………スゴク不安なんだけど…