『明日は天気が良いらしいから久しぶりに屋上で待ってる。聖良の弁当楽しみにしているからな。』

昨夜、龍也先輩からメールをもらったあたしはちょっと浮かれていたと思う。

だから朝も随分早く目が覚めてしまった。

おかげでお弁当もいつもより時間をかけて作ることが出来たから、龍也先輩の好きなものばかりを用意した。

先輩の大好きな鳥の唐揚げとハンバーグをメインに、ほうれん草の胡麻和え、きんぴらゴボウにふんわりだし巻きタマゴ、蓮根のサラダにはブロッコリーとプチトマトで彩りを添えた。もちろんあたしの大好きなタコさんウィンナーは忘れない。

おにぎりはシャケとたらこの2種類、二人のお出かけお弁当には必須のスペシャルハムサンドとタマゴサンドも用意した。

最近は随分陽射しも春らしくなり屋外でお昼休みを過ごす学生も多くなって来ている。
温かい太陽の下でお弁当を食べるのが大好きなあたしは春が来るとウキウキしてくる。

冬の間はずっと生徒会室で一緒にお弁当を食べていたあたし達もそろそろ冬眠から覚める時が来たみたい。

久しぶりにお日様の下でお昼を食べると思うと、ピクニックみたいで何だか気分が浮かれてしまう。

もしかしたら、昨日生徒会室の隣りの芝生でお弁当を食べている女の子たちを見て「そろそろ外で食べるのもいいなぁ。」って思っていたのを龍也先輩は気付いていたのかも知れない。

何も言わなくてもちゃんとあたしを見てくれていると思うと何だかとても幸せな気分になってくる。

女嫌いで秀才のクールビューティと言われる生徒会長が、あたしにだけは優しく微笑んでその愛情を惜しみなく注いでくれる。

あたしって世界一幸せな女の子なのかも知れない。

大好物ばかりを用意したお弁当を龍也先輩は気に入ってくれるかな、などと浮かれてお昼休みを待ちわびていたあたしは、朝からずっとニコニコと機嫌が良かったみたい。
自分では意識していなかったけれど、かなりテンションが高かったんだと思う。


だからあたしはまったく気付いていなかった。


彼らがあたし達にずっと注目していた事に…