「…聖良は明日の授業に体育ってあったっけ?」

「へ?いえ…無かった筈ですけど?どうしてですか?」

「だって、キスマークだらけで着替えなんて出来ないだろ?あ、でもその前に明日は学校を休まないとダメかもしれないよなぁ。」

死刑宣告に聞こえます。

この後のあたしの運命をさりげなく連想させるようなコワイ言葉をそんなに素敵過ぎる笑顔でいわないで下さい。

あぁ…でも、例えあなたが悪魔でも構わないと思うほどにあたしはその笑顔に弱くって…。


「さ、帰ろう。早くしないと俺、本当に聖良をここで襲っちまう。」


その笑顔の前には抵抗なんてできる筈もなくて…。


結局拉致されたあたしはその夜残りの5個のチョコレートを全部口移しで食べさせられた。


チョコレートが一つ溶けるたびに意識を飛ばすほどに愛されて…


最後のチョコレートに関しては、それこそまったく記憶が無いくらいで…


先輩が予言したとおり、あたしは次の日学校を休むハメになった。



初めてのバレンタインで学んだ事がある。


一つ。チョコレートは早めに用意して前の晩は寝不足にならないこと。


二つ。龍也先輩のお仕置きを受けるような言葉は慎むこと。


そして三つ。これだけは何をおいても絶対に死守すると決めた。



バレンタインのチョコレートは一個だけにすること。





++St. Valantine's Day Special Step Fin ++