聖さんは一瞬驚いたような顔をしてそれから満面の笑みで笑うと、フェイスロックをかけるように俺の頭を引き寄せて髪をクシャクシャに掻き回した。
「うわ!やめっ…何するんですかっ。」
「か~いいなぁ。龍也。」
んな事言われてもうれしくないし…。
聖さんの腕が絡みつく首を外そうと抵抗を試みた時。
「龍也になら兄さんって呼ばれるのも悪くないよな。」
不意に響いた小さな呟きは俺の胸を熱くしてこみ上げてくるものを止められなかった。
不覚にも滲んでくる熱いものを押し込めようとギュッと瞳を閉じる。
俺には家族なんてものは一生無縁かも知れないと思っていたのに
今はこんなにも温かい腕が俺を包み込んでくれる。
「兄さ…ん」
「…イイコだ。素直になれ。泣く事は必要なときだってある。
本当の強さってのは自分が弱い事を認めて初めて得られるもんだっておまえも分かったんだろ?」
「うん。…聖良が教えてくれた。」
「…そっか。」
聖さんはもうそれ以上何も言わなかった。
ジタバタする俺を押さえつけ髪を掻き回している聖さんの姿は、空港を行き交う誰が見ても仲の良い兄弟に見えたかもしれない。
ただ戯れるこんな何でもない事が幸せだなんて…。
ありがとう…兄さん
「うわ!やめっ…何するんですかっ。」
「か~いいなぁ。龍也。」
んな事言われてもうれしくないし…。
聖さんの腕が絡みつく首を外そうと抵抗を試みた時。
「龍也になら兄さんって呼ばれるのも悪くないよな。」
不意に響いた小さな呟きは俺の胸を熱くしてこみ上げてくるものを止められなかった。
不覚にも滲んでくる熱いものを押し込めようとギュッと瞳を閉じる。
俺には家族なんてものは一生無縁かも知れないと思っていたのに
今はこんなにも温かい腕が俺を包み込んでくれる。
「兄さ…ん」
「…イイコだ。素直になれ。泣く事は必要なときだってある。
本当の強さってのは自分が弱い事を認めて初めて得られるもんだっておまえも分かったんだろ?」
「うん。…聖良が教えてくれた。」
「…そっか。」
聖さんはもうそれ以上何も言わなかった。
ジタバタする俺を押さえつけ髪を掻き回している聖さんの姿は、空港を行き交う誰が見ても仲の良い兄弟に見えたかもしれない。
ただ戯れるこんな何でもない事が幸せだなんて…。
ありがとう…兄さん



