困っていたあたしにお兄ちゃんの声は天の助けにすら聞こえた。

「お兄ちゃん。龍也先輩が頭痛がするって言うの。休んでいくように勧めているんだけど…。」

「頭痛?大丈夫なのか龍也。休んでいけよ。少し落ち着いたら送ってやるから。」

「いや、大丈夫です。本当に…」

先輩がそう言ってお兄ちゃんのほうを振り返ったときだった。



まるで目眩を起こしたかのように龍也先輩の体が大きく揺れてあたしにもたれるように倒れてきた。

「―――!龍也先輩?」


抱きとめた龍也先輩は苦しげで息づかいも荒くて、一目で具合の悪い事が分かる。
触れた頬は凄く熱くて熱が高い事がすぐに分かった。


「お兄ちゃん。龍也先輩が!」

お兄ちゃんの行動は早かった。龍也先輩が倒れた瞬間2階から駆け降りてきてすぐに龍也先輩を抱えて室内で休ませてくれた。

熱を測ると39度もあって、お兄ちゃんは良くこれで歩いて帰るなんて意地を張ったもんだと呆れていた。