『聖良ちゃん。この先の沼には幽霊が出るのよ。その霊を見た人は沼に引き込まれて戻ってこないんですって…なあんてね。実際に引き込まれた人はいないわよ。随分昔にはいたみたいだけど本当のところどうなのかしらね。』
そう、そんな話を聞いたからだったのだと思う。
聖良は風の音や枯葉を踏みしめる音にさえも敏感に反応して俺にぴったりとくっついて離れなかった。
一つの懐中電灯で足元を照らしながら聖良の肩を抱いて歩くが聖良がこわがってしがみついて来るので歩きにくくて仕方が無い。
「聖良、歩き難いって。大丈夫だからそんな風にムチャクチャに縋りつくのは止めろよ。本当にこけちまうだろう?」
「だあってぇ。こわいんだもん。あたし苦手なんですよ。お化けとかホラーとか。」
「わかったよ。じゃあ、俺がお姫様抱っこでもしてやろうか?」
「やっ…やだ。何を言ってるんですか?平気です。ちゃんと歩けますってば。」
「そう?遠慮しなくてもいいよ。いつでも抱いてあげるから。」
抱いてあげるから…その言葉に含みを持たせているのを聖良は気付いているだろうか。
「…えっ…遠慮しておきます。」
そう、そんな話を聞いたからだったのだと思う。
聖良は風の音や枯葉を踏みしめる音にさえも敏感に反応して俺にぴったりとくっついて離れなかった。
一つの懐中電灯で足元を照らしながら聖良の肩を抱いて歩くが聖良がこわがってしがみついて来るので歩きにくくて仕方が無い。
「聖良、歩き難いって。大丈夫だからそんな風にムチャクチャに縋りつくのは止めろよ。本当にこけちまうだろう?」
「だあってぇ。こわいんだもん。あたし苦手なんですよ。お化けとかホラーとか。」
「わかったよ。じゃあ、俺がお姫様抱っこでもしてやろうか?」
「やっ…やだ。何を言ってるんですか?平気です。ちゃんと歩けますってば。」
「そう?遠慮しなくてもいいよ。いつでも抱いてあげるから。」
抱いてあげるから…その言葉に含みを持たせているのを聖良は気付いているだろうか。
「…えっ…遠慮しておきます。」



