「あ!美奈子先輩。どうしたんですか?そんな格好で。」

巫女姿の美奈子がお守りの販売所で手を振っている。意外なところで意外な格好の美奈子を見て思わず動揺してしまう。

「ここはあたしの親戚の神社なの。毎年正月にはバイトで手伝っているのよ。」

「へぇ。似合わねぇな。美奈子が巫女かあ。」

「ちょうど良かったわ。バイトが急にふたりもやめて困っていたのよ。二人ともバイトに入ってくれたらうれしいんだけど。」

マジかよ。せっかく久しぶりに聖良と会えたのに新年早々こいつに邪魔されんのか?冗談じゃない。

「あ~悪いけど俺たちはパスな。」

冷たく美奈子を突き放す。…が、あいつは一筋縄ではいかなかった。

「いいわ。じゃあ聖良ちゃんだけでも…ね?聖良ちゃんなら手伝ってくれるわよね。あたしを助けてよぉ。佐々木君みたいな冷たい事言わないでぇ。」

ウルウルと聖良を見つめる美奈子に同情するように瞳が揺らぐ聖良。

クソ、美奈子の奴聖良から攻めてきやがった。

「龍也先輩。あたし…。」


聖良の言葉を最後まで聞かずに俺が両手を揚げて大きな溜息を吐いたのは言うまでも無い。