「何を話しているの?随分仲良くなったのねふたりとも。」

「まあな、龍也は俺が弟として認めてやった奴だからな。龍也とだったら許してやる。」

「……何を許すの?」

「何って…決まってるじゃな――ふがっ!!」

「ほら聖良。神社までの道が混んで来る前に行こうぜ。せっかくの着物を人ごみで汚されるのはいやだろう?」

俺は慌てて聖さんの口を塞いでそう言うと聖良に外へ出るように促した。

まだ何か言いたそうな聖さんをじろっと睨むと一言釘をさしてから手を離す。

「聖さんっ!聖良に余計な事吹き込まないで下さい。下手な知識で先入観を持たれると大変なのは俺なんですよっ!たとえ聖さんでも変なこと教えたら許しませんからね!!」



聖さんの苦笑いを流し見てから俺は玄関のドアを開けた。


パタンと閉まると同時に聞こえたドア越しの聖さんの声。


「俺に遠慮しなくて良いからな。頑張って来いよ龍也。お年玉使って来るんだぞぉ~♪」


……この兄貴はどうしても俺にお年玉を受け取らせたいらしい。