『あたしが龍也先輩のお母さんになってあげるから。だから甘えていいんです。淋しい時悲しい時はあたしに甘えて
全部受け止めてあげるから。心ごと抱きしめていてあげるから。』
聖良がそう言ったとき俺の中の耐えてきた何かがぷつんと切れた。
込みあげてくる切なさと共に胸が痛くなるほどの苦しさ、助けて欲しいともがいていた幼い日からの心の叫びが噴き出してきて聖良を抱きしめる腕の震えを止める事が出来なかった。
『泣きたい時は泣いていいんです。あたしが受け止めてあげるから。苦しい事も悲しい事も全部分けて下さい。一人で抱え込んで苦しんだりしないで…。あたしがいつだって付いているから。』
聖良の言葉に誘われるように頬を温かいものが伝うのを感じる。
自分でも信じられなかった。父親が死んだときでさえ涙は出なかったのに…。
母が出て行ってから、俺は泣く事が無くなった。涙の流し方さえ忘れてしまった。
同時に笑うことさえ無くなっていた。
笑い方は暁と響によって思い出すことが出来たが、涙はずっと忘れたまま10年が過ぎた。
聖良の声が俺の心の扉を開き、暗い闇に光を当ててくれた。
泣き方を忘れた俺は声を出す事は無かったが、それでも頬を伝う温かい感情に心が凪いでいくのを感じずにいられなかった。
震える自分自身を支えようと聖良を掻き抱くように強く強く抱きしめて細い肩に顔を埋める。
ふわっと聖良の腕が俺の心を包み込むように優しく柔らかく俺の背中に回された。
『愛しています…龍也先輩。』
聖良の声が俺の胸の傷を癒すように響く。
どうしておまえはこんなにも俺の心にするりと入ってくるんだろう。
全部受け止めてあげるから。心ごと抱きしめていてあげるから。』
聖良がそう言ったとき俺の中の耐えてきた何かがぷつんと切れた。
込みあげてくる切なさと共に胸が痛くなるほどの苦しさ、助けて欲しいともがいていた幼い日からの心の叫びが噴き出してきて聖良を抱きしめる腕の震えを止める事が出来なかった。
『泣きたい時は泣いていいんです。あたしが受け止めてあげるから。苦しい事も悲しい事も全部分けて下さい。一人で抱え込んで苦しんだりしないで…。あたしがいつだって付いているから。』
聖良の言葉に誘われるように頬を温かいものが伝うのを感じる。
自分でも信じられなかった。父親が死んだときでさえ涙は出なかったのに…。
母が出て行ってから、俺は泣く事が無くなった。涙の流し方さえ忘れてしまった。
同時に笑うことさえ無くなっていた。
笑い方は暁と響によって思い出すことが出来たが、涙はずっと忘れたまま10年が過ぎた。
聖良の声が俺の心の扉を開き、暗い闇に光を当ててくれた。
泣き方を忘れた俺は声を出す事は無かったが、それでも頬を伝う温かい感情に心が凪いでいくのを感じずにいられなかった。
震える自分自身を支えようと聖良を掻き抱くように強く強く抱きしめて細い肩に顔を埋める。
ふわっと聖良の腕が俺の心を包み込むように優しく柔らかく俺の背中に回された。
『愛しています…龍也先輩。』
聖良の声が俺の胸の傷を癒すように響く。
どうしておまえはこんなにも俺の心にするりと入ってくるんだろう。



