【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~

昨日先輩のマンションで聞いた話が胸を抉って痛みが止まらない。

あたしはパパを亡くしても温かい家庭に包まれて育った。パパの代わりはお兄ちゃんが務めてくれたしママもあたしたちをパパの分まで愛してくれた。


だから想像も付かない。


龍也先輩を捨ててお母さんが蒸発したなんて…。


先輩はどんな思いでお母さんを待っていたんだろう。


どんな理由がお母さんをそうさせたんだろう。


何故愛する息子を置いて出て行かなければならなかったんだろう。



幼かった龍也先輩の心の傷はとても大きかったと思う。
心を閉じていた龍也先輩を救ってくれたのは同じように母親のいない暁先輩と響先輩だったと龍也先輩は教えてくれた。ふたりは母親を失った龍也先輩の大きな支えだったそうだ。


あたしは何も知らなかった。先輩の心の傷を何も知らずに何を好きだと思っていたのだろう。



…でも、この気持ちに偽りはない。



龍也先輩が好き。誰よりも好き。

あなたを護ってあげたい。

あなたを悲しみや苦しみから護ってあげたい。

今でも悪夢にうなされて眠れない時はあたしを思い出して眠ると先輩は言ってくれた。

あたしで少しでも先輩を癒してあげられるのならずっと傍についていてあげたいと思う。

あなたの胸の暗黒の霧をあたしが払ってあげたいの。

あなたの心を明るく照らす一筋の光になりたい。



神様がクリスマスの願いを一つ叶えて貰えるなら



龍也先輩の心の傷を癒す事が出来る力をどうぞ私に与えて下さい。