【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~

「聖良…俺はずっと母親を憎んでいた。今でも許す気にはなれない。何故幼い俺を置いてある日突然姿を消したのか…理由は今でも分からない。だから俺はずっと女が嫌いだった。自分の血肉を分けた最愛の存在であるはずの息子でさえ自分の欲望の為に捨てる事の出来る女は愚かな生き物だと思っていた。」

聖良を抱きしめる腕の力を僅かに強くしてしっかりと抱きしめる。
自分の心の内を懺悔するように吐き出すには聖良の温もりがどうしても必要だった。

「俺が望まなくても何時だってバカな女は自分から俺を求めてきた。俺の苦しみとか悲しみとか何も知らないで、自分が擦り寄ってくる事が俺を傷つけるとも知らずに好きだとか抱いて欲しいとか自分勝手な欲求を言ってくる。付き合ったって俺の事なんて何も知らないくせに…。知ろうともしないくせに…。」

俺の言葉を黙って聞きながら腰に回した手をキュッと抱きしめてくれる聖良。

「女には嫌気がさしていたんだ。俺に群がってくる女は何時だって自己中心的で俺のルックスや頭がいいとかそんなことばかりを気にしている奴ばかりだった。連れて歩くにはいいって理由で誘ってくるような軽い奴もいたよ。女は愚かだと思っていたけど、…でも、聖良。おまえだけは違ったんだ。聖良は俺に安らぎを与えてくれた。微笑む事を教えてくれた。真っ直ぐな瞳で物事を見据える強い意志を教えてくれた。聖良には感謝しているんだ。」


「あたしも…同じです。先輩のこと何も知らない。他の女の人と同じですよ。」

聖良が瞳に涙をうっすらと滲ませて俺を見上げてきた。

「だけどそんなのイヤです。他の人と同じなんてイヤ。あたしは先輩の事を知りたい。あなたの支えになりたいの。あたしじゃ頼りないかもしれないけど…でもっ――。」

必死に言葉をくれようとする聖良が愛しくて有無を言わさず唇を塞いだ。