「俺、聖良の家の事改めて聞いた事無かったよな。何故かわかる?」
「今まできっかけが無かったからじゃないんですか?」
「まあ、それもあるけどね。あえて家族の事を聞かれないように避けていた部分もある。聖良の家族の事を聞くと俺の事も話さなければならなくなるだろう?俺の父親が死んで間もないから気を使われるのも嫌だったんだ。」
「そうですね…。あたしも隠すつもりは無かったんですけど、父がいない事を聞かれてもいないのにわざわざ自分から言う事も無いと思ったし…何となく言いそびれてましたから。」
そう言いながらもう一度部屋を見回す聖良。何か問いたそうに俺を見つめる。
「何?」
「随分物が少ないですね…まるで一人暮らししているみたい。」
言葉を選びながら話す聖良に優しく微笑んでみせる。そう、何でもない事なんだと言うように。
「ご名答。そうだよ。俺が一人暮らししてる事も言ってなかったよな。」
「ええ?本当に一人で住んでいるんですか?それこそ初耳でしたよ。」
「だよなぁ。言ってねぇもん。なんだか同情されるみたいで嫌でさ。」
「でもどうして?お母さんは?」
「母親は俺が小学生の頃蒸発した。理由なんか知らない。俺はずっと父親と二人暮しだったんだ。去年父親が亡くなるまではね。」
「龍也先輩…。」
「いわゆる天涯孤独の身って奴かな?特に付き合いをしてこなかった親戚なんて何処にいるかも知らないしな。」
聖良の隣りに座りそっと肩を抱き寄せる。
「ずっと、誰にも話した事は無かったよ。暁と響はこの事実を知っている。だけど自分から誰かに話したのはおまえが始めてだ。聖良にだけは本当の俺を知って欲しかったから。」
聖良の瞳を覗きこむと動揺が浮んでいて戸惑っているのが手に取るようにわかる。
「驚いた?今まで話せなくてごめんな。」
「今まできっかけが無かったからじゃないんですか?」
「まあ、それもあるけどね。あえて家族の事を聞かれないように避けていた部分もある。聖良の家族の事を聞くと俺の事も話さなければならなくなるだろう?俺の父親が死んで間もないから気を使われるのも嫌だったんだ。」
「そうですね…。あたしも隠すつもりは無かったんですけど、父がいない事を聞かれてもいないのにわざわざ自分から言う事も無いと思ったし…何となく言いそびれてましたから。」
そう言いながらもう一度部屋を見回す聖良。何か問いたそうに俺を見つめる。
「何?」
「随分物が少ないですね…まるで一人暮らししているみたい。」
言葉を選びながら話す聖良に優しく微笑んでみせる。そう、何でもない事なんだと言うように。
「ご名答。そうだよ。俺が一人暮らししてる事も言ってなかったよな。」
「ええ?本当に一人で住んでいるんですか?それこそ初耳でしたよ。」
「だよなぁ。言ってねぇもん。なんだか同情されるみたいで嫌でさ。」
「でもどうして?お母さんは?」
「母親は俺が小学生の頃蒸発した。理由なんか知らない。俺はずっと父親と二人暮しだったんだ。去年父親が亡くなるまではね。」
「龍也先輩…。」
「いわゆる天涯孤独の身って奴かな?特に付き合いをしてこなかった親戚なんて何処にいるかも知らないしな。」
聖良の隣りに座りそっと肩を抱き寄せる。
「ずっと、誰にも話した事は無かったよ。暁と響はこの事実を知っている。だけど自分から誰かに話したのはおまえが始めてだ。聖良にだけは本当の俺を知って欲しかったから。」
聖良の瞳を覗きこむと動揺が浮んでいて戸惑っているのが手に取るようにわかる。
「驚いた?今まで話せなくてごめんな。」



