「聖良、俺んちコーヒー用のミルクって無いんだ。牛乳でもいいか?」
「あ、はい。いいですよ。あたしがやりましょうか?」
「いや、いいよ。いつもやっているから。聖良は座ってて。」
聖良がこうして来てくれるなら聖良専用にミルクを用意しておかないといけないなと心で浮かれながら聖良の為に砂糖を一つ落とし牛乳を入れたコーヒーを作る。
「聖良のお父さんが亡くなっていたって言うのは知らなかったよ。5才の時だって?父親の記憶があんまり無いんじゃないか?」
「うん…少しはあるけど、まだ幼稚園だったからはっきりと覚えている記憶って少なくて。」
「そうか。お兄さんが父親代わりみたいな感じだった訳?」
「そうなの。兄は父が亡くなった時14才だったんですけど、あたしと年が離れていたせいか凄くあたしの事可愛がってくれて、父がいなくても淋しくないようにって、『お父さん』になってくれたんです。
3年前仕事で海外赴任が決まった時も、あたしの為に断るって言ったくらいで…。」
聖良は小さく溜息を付くとコーヒーを差し出す俺を見つめてカップを受け取った。
ふうっと息を吹きかけ立ち上る湯気を散らす聖良の仕草を見つめ次の言葉を待つ。
「でも、あたしイヤだったんです。お兄ちゃんが自分の仕事に誇りをもっているの知っていたから尚更。妹の為なんかに自分の大切な人生を犠牲にして欲しくなかったんです。でも、お兄ちゃんは迷っていたみたいで…。ただでさえ超過保護なのに、あの頃から更に過保護に拍車がかかったというか…。」
……ああ、なんかわかる気がする、聖良の兄の気持ち。
目を離すと何をするかわからない妹を置いて海外赴任なんてできないだろう。
特に相手が聖良なら尚更だ。心配で心配で仕方が無いんだろうな。
「あ、はい。いいですよ。あたしがやりましょうか?」
「いや、いいよ。いつもやっているから。聖良は座ってて。」
聖良がこうして来てくれるなら聖良専用にミルクを用意しておかないといけないなと心で浮かれながら聖良の為に砂糖を一つ落とし牛乳を入れたコーヒーを作る。
「聖良のお父さんが亡くなっていたって言うのは知らなかったよ。5才の時だって?父親の記憶があんまり無いんじゃないか?」
「うん…少しはあるけど、まだ幼稚園だったからはっきりと覚えている記憶って少なくて。」
「そうか。お兄さんが父親代わりみたいな感じだった訳?」
「そうなの。兄は父が亡くなった時14才だったんですけど、あたしと年が離れていたせいか凄くあたしの事可愛がってくれて、父がいなくても淋しくないようにって、『お父さん』になってくれたんです。
3年前仕事で海外赴任が決まった時も、あたしの為に断るって言ったくらいで…。」
聖良は小さく溜息を付くとコーヒーを差し出す俺を見つめてカップを受け取った。
ふうっと息を吹きかけ立ち上る湯気を散らす聖良の仕草を見つめ次の言葉を待つ。
「でも、あたしイヤだったんです。お兄ちゃんが自分の仕事に誇りをもっているの知っていたから尚更。妹の為なんかに自分の大切な人生を犠牲にして欲しくなかったんです。でも、お兄ちゃんは迷っていたみたいで…。ただでさえ超過保護なのに、あの頃から更に過保護に拍車がかかったというか…。」
……ああ、なんかわかる気がする、聖良の兄の気持ち。
目を離すと何をするかわからない妹を置いて海外赴任なんてできないだろう。
特に相手が聖良なら尚更だ。心配で心配で仕方が無いんだろうな。



