【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~

聖良の額にそっとキスをしてから両手を優しく握り締めたまま体を離すと、額をコツンと合わせる。
聖良が瞳を伏せるのを確認してから静かに瞳を閉じて誓いを立てる様に語りかけた。

「ごめんな。もう迷ったり嫉妬して責めたりなんてしないから。ふたりでゆっくりと進んでいこうな。慌てて階段を駆け上がると聖良のことだ、また踏み外すかもしれないからな。」

「クスッ…そうですね。あたし、先輩について行きますから…。だから、ずっと手を繋いであたしを引っ張っていって下さい。あたしがステップを踏み外さないように。」

「ああ、ずっと手を引いて、ゆっくりStep Upしてやるよ。イヤって泣いてももう絶対に離してやらないし。」

「うん、離さないで下さい。あたし、もう先輩しか見えないんですから…ずっとあたしの事好きでいて下さいね。」

「俺も、聖良しか見えないから…責任とってくれよな?」

「責任とるって?」

「こうして俺にちゃんと気持ちを伝えてくれればいいんだ。俺ばっかり好きって言ったり、キスしたりするんじゃ、俺だって不安になるよ。
ほら、キスも随分上手になったし、好きって言っても恥ずかしがらなくなってきたじゃないか。」

「…まだ恥ずかしいですよ。でも、言葉が溢れてくるんです。この想いを伝えたいって…。
もしかしたら、もう二度と好きって伝える事も、言ってもらう事も無いかもしれないと思っていたから。」

「バカだな。俺が聖良を忘れられるわけ無いだろう?気が狂うかと思うくらい会いたかったんだぜ?」

「あたしだって…スゴク会いたかった。1秒だって龍也先輩のこと考えない時は無かったもの。」

顔を見合わせてクスクスと笑うと、どちらからとも無く唇を寄せた。

聖良といると季節が移り変わるように自分が変わっていくのが良くわかる
夏から秋、秋から冬へと季節が静かに移り変わるように俺の心をゆっくりと癒し穏やかに変えている。
聖良に恋する想い、それが俺を少しずつ優しい人間に変えていく事が心から嬉しい。

こんなにも誰かを想う事の出来る自分が幸せだと思える日が来るなんて考えた事も無かった。