薔薇姫-バラヒメ-


――――…?



急に肌寒さを感じ、あたしは重たい瞼をゆっくりと持ち上げた。


ぼんやりとした意識のまま、ベッドから起き上がる。


「…窓…」


何故か、ベランダの窓が全開に開いていた。


そこから、冷たい風が部屋に入り込む。


「……あれ、あたし窓開けたっけ…?」


記憶をたどってみると、開けてない気がする。


…何で開いてるんだろ。



けど、細かいことは気にしない主義のあたし。


窓を閉めて、お風呂入らなきゃ。



眠気が覚めきっていない足取りで、あたしはベランダへ向かう。


窓を閉めようと手を伸ばしかけて、やめた。



あたしの瞳に、それは…はっきりと映った。


夜空に静かに輝く、満月。



「…何で…紅いの…?」