薔薇姫-バラヒメ-


え。


一体何で占ってるんだろ。


「…それじゃ、結果は…?」


占い師が、ふっと笑う。


被っている黒いフードの隙間から見える笑みが、何だか怖かった。


「…今宵、月が紅く染まる頃…月の使者が、貴女を迎えに来るでしょう」


「え?」


月が紅く染まる?


月の使者?



よく意味がわからなくて、あたしは顔を伏せて考える。


「………」


それでもやっぱりわからなくて、占い師に詳しく聞こうと顔を上げた。


…そこには。


「…あ、れ?いない?」


あの占い師の姿は、どこにもなかった。


一体、何だったんだろう?


あたしは眉をひそめつつも、帰路を辿った。



このときは、全然思ってもいなかったんだ。





このあとにまさか…

あんなことになるなんて。