「…どーいうことだよ、兄貴」


話をするために、夕食後兄貴の部屋に入った俺は、すぐさま口を開いた。


「見たまんまだ。"薔薇姫の子"を見つけ、城に連れてきた」


何ともないような表情で答える兄貴に、俺は苛立ちを覚えた。


「…そんな簡単なことじゃないだろ!俺たちはっ…」


「"薔薇姫"のせいで、裏切り者呼ばわりされた?」


言おうとしていた言葉を言い当てられ、俺は舌打ちした。


「ーっ、そうだろ!? "薔薇姫"が現れなかったら、あんなことにはならなかった!」


叔父さんが追放されることも、俺たちに被害が及ぶことも、なかったはずだ。


兄貴は、静かに椅子に腰かけた後、ため息をついた。


「だとしても、だ。"薔薇姫"を責めるのは間違ってる。その子供を責めることも」