薔薇姫-バラヒメ-


かちゃり。


鍵のかかる音が、部屋に響いた。


「あのー…何で鍵を?」


あたしが尋ねると、見知らぬ男の人が答えをくれた。


「貴女が逃げない為ですが」


逃げ…?


って、その声…!


「ううう占い師!!」


あのときのッ!!


あたしが指差すと、占い師はかなり眉をひそめた。


「指を差さないでいただきたいのですが。それに大声をあげられては、レオ様のお気に障る」


な、何て仏頂面なひとなの。


にこりともしない。



あたしが何か言い返そうとしたとき、この部屋に入って初めて王子様が口を開いた。


「―――俺は別に大丈夫だ、ロゼ」


王子様は軽くため息をつき、頭をかく。


…あれ?


何か、イメージが…。


「おい、メイ」


「はい!?」


急に名前を呼ばれ、思わず返事をする。