薔薇姫-バラヒメ-


「…メイさま、この奥の部屋にお入り下さい」


王子様は、突き当たりの装飾が派手な扉を指差した。


「えっ…王子様は?」


「私は、すぐあとに参ります」


あたしは軽く頷き、扉の前に立つ。


恐る恐る手を伸ばして、ゆっくりとノブに手をかける。


ギイィ…という不気味な音と共に、扉が開いた。



その部屋は、明かりがついていて、十分明るかった。


やっぱり、光があるほうが安心する。



大きな机があって、書類が散らばっていた。


仕事部屋か何かかもしれない。



王子様はまだかな?と振り返ると、二人の人物が部屋に入ってきた。


王子様…と、プラス一人。



前髪をわけていて、クリーム色の髪と深緑の瞳をもった、男の人。


王子様と似てないから、兄弟とかじゃない…はず。