薔薇姫-バラヒメ-


歩いて十分ぐらいで、お城へ到着。


でもね?


「また…真っ黒…?」


暗いとか、そんなんじゃない。


目の前に堂々とそびえ立つお城は、真っ黒に染まっていた。


「な、何で真っ黒…」


思わず後ずさりするあたしを、王子様は促す。


「それはもちろん、雰囲気を出すためです」


…何の雰囲気!?


なんだか、ただならぬ雰囲気を感じる。


今更になって不安を覚えたけど、もうお城に入ってしまった。





お城の内装は、豪華だった。


あたしの憧れるお城そのままだった。


…中まで黒いけど。



そういえば、王子様も全身真っ黒だし。


この世界では…黒が流行りとか?



物珍しげにきょろきょろと辺りを眺めるあたしに、王子様は口を開いた。