薔薇姫-バラヒメ-


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「メイさま?」


声をかけられ、あたしはぎゅっと閉じていた目を恐る恐る開く。


そこには、なんともおとぎ話の世界に迷い込んだような、華やかな景色が広がって…


………いるわけでもなく。


「…え?ここどこ?」


暗い。


明らかに町…村?なんだろうけど、雰囲気も暗いし、光も全然ない。


「私の住んでいる世界です」


あたしの問いにサラリと答えた王子様に、あたしは眉をひそめて聞く。


「…なんか、すっごく暗くないですか?」


「メイさま、今は夜中ですから」


…そういう暗さじゃない。


なんか…どんよりしてるっていうか…。


「それより、私の城へご案内しましょう」


「えっ!? お城!?」


お城と聞いて喜ぶ、単純なあたし。


この世界の雰囲気のことなんか、一瞬で頭から消えた。