薔薇姫-バラヒメ-


もしかして…!!



「お、王子様!?」



月からきた王子様だ!!


そう勝手に結論づけたあたしは、嬉しくて瞳を輝かせる。


そんなあたしを見て、王子様は一瞬驚き、すぐに微笑んだ。


「…一緒に、来ていただけますか?」


差し出された手を、あたしは凝視する。


「…どこに?」


「私の住む異世界です」


あたしはポカンと口を開けてしまった。



…異世界。



おとぎ話に憧れてたけど、異世界へ行くことになるとは。


や、まだ行くって決めたわけじゃないけど。



…でも。



ちらりと王子様を見る。


相変わらず、王子様は手を差し出したまま微笑んでいる。



う―…、

すっごいタイプなんだよー。



さらさらと風になびく金髪が、あたしの視界を照らす。


―――覚悟を決めろ、あたし!