「先生…」



夢香が不安を掻き消すように俺の胸に顔を埋めた。


黒くて綺麗な髪をそっと撫でた。



「先生かっこいいんだもん。仕方ないよね」



夢香…。

もっとヤキモチやいてもいいんだぞ?


『女の子と喋らないで』とかさ…無理なお願いしたっていいんだぞ?


今の夢香は自分の気持ちを押し殺していないか…?

俺に気遣う必要なんてないのに…。



「もう帰るね…。一目会いたかっただけだったから…」



少し涙ぐんだ夢香が静かに研究室から出ていった。





夢香の背中がいつもより小さく見えた。