遅い俺に気付いた橋本が振り向いて叫んだ。



よかった…。

俺のこと待っててくれてた。



「足早いなぁ!陸上とかやってたのか?」

「ううん。やってないけど体育で短距離得意だったなぁ…」



橋本が寒くて赤くなった手を摩りながら言った。



その手…暖めてあげたい。



周りには誰もいなくて、二人きり…。



だめだ…我慢できんよ…。



でも、こんなとこで手出しちゃいけないに決まってる…。



「先生?早く行こう?」

「そ…そうだな」



橋本に話し掛けられ、我に返った。


次は二人並んで歩いて教室に向かった。