「だって、わたしとさっちゃん女の子二人なのに後藤くんが男の子一人だったら可哀想だと思って」
「じゃあ断ればよかったじゃん」
……さっちゃんも後藤くんが好きだったから断らなかった、なんて言えない。
「今、Bさんの気持ちを知って「断ればよかったな」と思ったけど、大勢で行った方が楽しそうだと思ったんだ。ごめんね」
「……うん、で、映画どうだった?後藤くん、何か言ってた?」
「……何かって、なに?」
「だから……誰か好きな人がいるとか、そういう話。ハナちゃん後藤くんに何か言われたりした?」
「わたしが後藤くんに何を言われるの?」
「何も言われてない?」
「だから何を?」
「……」
「……」
気まずい雰囲気。わたしはBさんの目をそらさぬように必死だった。
「何も言われてないんだったら、別にいいんだけど……」
先に目をそらしたのはBさんのほうだった。


