「・・・あたしも藤谷みたいな人に なれるといいなぁ」 「はぁ!?俺!!?」 「うん」 藤谷はびっくりしてるけど本当のこと。 だって私の憧れだもの。 近いけど、遠い人。遠いけど、近い人。 追いつけたらいいなと思う。 追いつけたらきっと私も強くなれる。 春の風が吹く。 窓から入る風はそっと私と藤谷の髪を なでていった。 心地よい、風。 なんとなくこの先の幸せを予感させるような 優しい、風。 「・・・俺なんて、綺麗じゃないのに」 ひとり言。 私には聞こえなかった彼のひとり事。