「今朝俺らが本宅出た後で、工事始まってるはず。」
「聞いてない…。」
「言ってないもん。」
「………。」
飄々と言ってのけた海斗に、雪月はポカンと口を開けてしまう。
「アホ面してるよ?」
「……。」
クックックッと肩を揺らして笑うこの男。
結城海斗。
(ユウキ カイト)
十八歳。
雪月と陸から見ると「従兄」にあたる。
二人の亡くなった父親の兄、つまり伯父の一人息子だ。
両親を亡くした二人を、見捨てる事無く育ててくれた伯父様には感謝をしている。
だけど…
「大丈夫。部屋の荷物は本宅に運ばせてあるから。帰ったら片付けな?」
「…はい。」
「それから、俺的に白の下着はどうかと思う。」
「っ!!」
立ち上がり部屋を出る間際、耳元でそう囁いた海斗に雪月は叫び振り返った。
「に、荷物見たの!!」
